中谷元・防衛相は6日、オーストラリアのアンドリュース国防相と電話で協議した。アンドリュース氏は豪州の新たな潜水艦の調達計画をめぐり「日本と共同して設計・建造が可能か検討したい」と述べ、協力を要請した。中谷氏は「関係省庁間で検討していきたい」と回答。国家安全保障会議(NSC)を開いて判断する見通しだ。
日豪両政府は昨年10月、潜水艦の技術協力の可能性を探る方針で一致したが、共同開発・生産を巡る協力に具体的に言及したのは初めて。
豪政府はコリンズ級潜水艦の代替として2025~31年に最大12隻の将来潜水艦を調達する計画で、総予算は500億豪ドル(約4兆6千億円)と豪史上最大の防衛調達計画となる。品質やコスト、建造期間などから潜水艦開発・生産の提携先を15年中に決める方針。今年2月には日本とドイツ、フランスの3カ国から選ぶ意向を示した。
日豪防衛相の電話協議では、アンドリュース氏が将来潜水艦の戦略的重要性を説明。潜水艦開発・生産に関する日本の実績と技術力を評価しつつ、「将来潜水艦の選定に向けた手続きに参加してほしい」と求めた。
防衛省によると、豪州は魚雷などの武器や情報システムは米国の技術を導入する方針を決めている。日本のエンジンを含む船体の建造技術を評価しているとされ、採用が決まれば日米豪3カ国による共同開発・生産の構図になりそうだ。
新型潜水艦の選定手続きへの参加は秘匿性の高い技術情報の提供を伴う。首相や官房長官、外相、防衛相の「4大臣」に経済産業相らを加えたNSCで参加するかどうか決めるもようだ。
政府が昨年4月に閣議決定した防衛装備移転三原則は、日本の安全保障に資する場合などに限って厳格審査を経て武器や関連技術の輸出を認めている。