薬物使用者や初めて刑務所に入る受刑者らが早めに出所することになる「刑の一部執行猶予制度」が来年6月までに始まる。保護観察対象となる薬物依存者が急増する見込みで、専門家は「再犯防止のためにも治療態勢の拡充を急ぐ必要がある」と指摘する。
刑の一部執行猶予制度は、刑務所に初めて入る人か薬物使用の罪に問われた人に対し、3年以下の懲役・禁錮判決を言い渡す際、刑期の一部を刑務所で服役させ、残りの期間の執行を猶予できる。猶予期間中は釈放され、社会で更生を図ることになる。
国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長の松本俊彦医師は「受け入れる医療機関の少なさが課題だ。薬物依存症の治療は手間がかかるため、医療機関側の負担が大きい。診療報酬の加算などで薬物依存症の治療を促進することなども検討すべきだろう」と指摘する。