日本で刺し身用マグロとしては最も多く消費されているメバチマグロは、日本漁船の主要漁場である中西部太平洋で資源レベルが「低位」となり、しかも減少傾向にあるとの評価を水産総合研究センターが11日までにまとめた。
高級トロの材料になるクロマグロだけでなく、比較的低価格のマグロでも乱獲が深刻化していることを示しており、日本漁船を含めた漁獲量の削減を求める声が高まることは確実だ。
同センターによると、漁獲量や魚の大きさ、重さなどのデータを解析した結果、産卵能力がある親魚の量は、漁業が本格化した1950年以降、減少が続き、2012年には、この海域にもともといた量の16~20%程度に減っている可能性がある。こうしたことなどから、資源レベルの評価をこれまでの「中位」から見直した。新たに群れに加わる若い魚の量も、1950~60年ごろに比べ大きく減っている。
一方、2009~13年の平均漁獲量は15万1千トンで、資源を維持するのに最適とされる10万8千トンを大きく上回り、過剰な漁獲が続いている。
国際資源管理機関の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の科学委員会は昨年、「メバチマグロは乱獲状態にある」との評価をまとめた。1980年以降に本格化した巻き網漁の拡大が一因とされる。昨年のWCPFCの会合では、メバチマグロの幼魚を捕ることが多い集魚装置を使った巻き網漁の規制強化などが話し合われたが、各国の意見がまとまらず継続審議とされた。
メバチマグロは東部太平洋や大西洋でも数が減り、国際自然保護連合(IUCN)は96年に「絶滅の恐れがある種」に指定した。〔共同〕