【ソチ=田中孝幸】ケリー米国務長官は12日、ロシア南部ソチを訪れ、ロシアのプーチン大統領と会談した。ケリー氏の訪ロは2年ぶりで、ロシアと米欧が激しく対立する原因となったウクライナ危機の発生後初めて。米ロ外交筋によると会談では両国高官による協議を活発にすることで一致。冷戦後最悪ともいわれる米ロ関係の改善を目指すことも申し合わせた。
12日、ロシア南部ソチで、同国のプーチン大統領(右)と握手するケリー米国務長官=AP
ケリー氏は同日夜、プーチン氏とウクライナ情勢やシリア問題、イラン核協議について「率直な話し合い」をしたとツイッターで明らかにした。「グローバルな課題に取り組むうえで米ロの意思疎通のラインを開いておくことは重要だ」とも指摘した。
ケリー氏はこれに先立ち、ラブロフ外相と約4時間にわたり会談した。
ラブロフ氏は協議内容に関し「素晴らしい(形で進んだ)」と語った。両氏は共に米ロが同盟国として戦った第2次大戦の独ソ戦の記念碑に花をささげた。
会談の主要議題となったウクライナ東部情勢を巡っては2月に停戦合意が発効したが、政府軍とロシアを後ろ盾とする親ロシア派武装勢力との間で局地的な戦闘が続いている。親ロ派が近く大規模な攻勢に出るとの懸念も広がっており、ケリー氏はプーチン氏に親ロ派への軍事支援の打ち切りを重ねて求めたもようだ。
一方、プーチン氏はウクライナ政府が和平に向けた親ロ派との直接対話に応じるよう、ケリー氏に影響力行使を求める立場。米国によるウクライナへの武器供与も見送るよう働きかけたとみられる。
この後、ケリー氏は13日にはトルコを訪問し、北大西洋条約機構(NATO)外相理事会に出席する。