【ニューヨーク=西邨紘子】米ドラッグストアチェーン大手のCVSヘルスは21日、薬剤給付管理(PBM)サービスの米オムニケアを買収すると発表した。CVSはオムニケア1株に現金98ドルを支払う。事業規模の拡大に加え、高齢者向け事業強化につなげる狙い。負債を含めた買収総額は約127億ドル(約1兆5000億円)。年内の手続き完了を見込む。
オムニケアは北米で高齢者向け介護施設や介護付住宅などにサービスを提供している。CVSは7000万人が加入するPBM事業を傘下に抱えるほか、調剤薬局を備えたドラッグストア7800店を展開している。
米国でも高齢化が進むなかで、慢性病などを抱え、複数の薬を服用しながら介護施設や自宅を行き来する患者の増加が見込まれている。CVSのラリー・メルロー最高経営責任者(CEO)はオムニケアの買収により、施設・自宅に関わらず同じネットワーク内で医薬品を提供できるようになると説明したうえで「患者への安全性や利便性を高められる」とした。
米国では年初からPBMサービスを対象としたM&A(合併・買収)が相次ぐ。3月には医療保険のユナイテッドヘルス・グループがPBMのカタマランを128億ドルで買収した。薬局チェーン大手のライトエイドも2月にPBMのエンビジョン・ファーマシューティカル・サービシズを約20億ドルで買収した。
業界再編が進む背景には、規模拡大を進め製薬会社への価格交渉力を高める狙いもあるとみられる。