日銀は22日、前日から開いていた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を賛成8、反対1の賛成多数で決めた。マネタリーベース(資金供給量)を年80兆円に相当するペースで増やす金融市場調節を続ける。反対したのは木内登英審議委員の1人。
具体的な資産買い入れ方針については、従来と同じく長期国債を年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買い入れるとした。株価指数連動型上場投資信託(ETF)は保有残高が年間3兆円、不動産投資信託(REIT)は年間900億円に相当するペースで増加するよう買い入れる。
国内景気については「緩やかな回復を続けている」とし、従来の「緩やかな回復基調」との表現から「基調」の文言を外した。先行きについても「緩やかな回復を続けていくとみられる」とし、「回復基調を続けていく」との従来表現を変更した。
個人消費は「雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移している」として、従来の「全体としては底堅い」との表現から変更した。住宅投資については「下げ止まっており、持ち直しに向けた動きもみられている」とし、前回、判断を示していた4月8日時点の「駆け込み需要の反動減が続いてきたが、足元では下げ止まりつつある」から変えた。公共投資は「高水準ながら緩やかな減少傾向に転じている」とした。4月30日公表の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では「現在の高めの水準から緩やかな減少傾向をたどった後、見通し期間の終盤にかけては下げ止まっていく」としていた。
消費者物価(生鮮食品を除く)は消費増税の影響を除いて「0%程度で推移している」とし、先行きについては「エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移する」と、従来の見方を踏襲した。
金融政策運営では、2%の物価安定目標を「安定的に持続するために必要な時点まで」量的・質的金融緩和を続けると改めて強調。「経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」と従来の表現を繰り返した。
木内委員はマネタリーベースと長期国債保有残高を共に「年間45兆円ペース」で増加するよう提案したが、反対多数で否決された。
15時30分から黒田東彦総裁が記者会見し、会合の決定内容や金融市場の動向について説明する。〔日経QUICKニュース(NQN)〕