原爆投下から70年となる節目の年にニューヨークで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、指導者の被爆地訪問や「核兵器禁止条約」に関する文言が削除された上、最終文書案の採択すらないまま閉幕した。広島、長崎の被爆者からは23日、「最悪の結果になった」とため息交じりの声が漏れた。
被爆者団体の一員として4月下旬から現地入りし、被爆体験を証言した被爆者の箕牧智之さん(73)は「期待していただけに悔しい。核兵器廃絶に向けた動きが止まらないようにしてほしい」と残念がった。
被爆70年となり、被爆者の高齢化は進む一方だ。箕牧さんは「生きているうちに廃絶の道筋を示してほしかったが、このままでは難しいでしょう」と嘆いた。
体調に不安を抱えながら訪米した長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の谷口稜曄会長(86)も「被爆者がいっそう少なくなる中、米国で訴えてきた。残念だ」と厳しい表情。一方で、米国の小学生が熱心に話を聞いてきたことを思い出し「これまでやってきたことは、世界の人に伝わっている。落胆はしない」と力強く語った。〔共同〕