日銀が27日公表した4月30日開催の金融政策決定会合の議事要旨によると、木内登英氏ら3人の政策委員が物価見通しにきわめて慎重な考えを示していた。3委員は黒田東彦総裁らの「2016年度前半に消費者物価指数(CPI)の上昇率が2%程度に達する」との見方に異議を唱えており、日銀内でも物価見通しに温度差があることが改めて明らかになった。
日銀は30日の決定会合で、CPI上昇率2%の達成時期を従来の「15年度を中心とする期間」から、「16年度前半ごろ」に後ずれさせた。
生鮮食品を除くCPIの上昇率見通しに関し、木内委員は「当面0%で推移した後かなり緩やかに上昇率を高めていく」と弱気の見方を示した。佐藤健裕委員も16年度前半に2%には達せず「16年度前半ごろに2%を見通せるようになる」と予想。白井さゆり委員も2%の物価目標の達成時期を「16年度を中心とする期間」に変更することを提案したが、いずれの提案も否決された。
黒田総裁ら、ほかの6人の政策委員は「16年度前半ごろに2%程度に達する」との見通しで一致した。年明け後の個人消費が鈍かったことなどから「15年度を中心とする期間」としていたそれまでの見通しを後ずれさせたものの、雇用情勢の改善などで物価の上昇基調は崩れていないとの判断からだ。