【ロンドン、ニューヨーク=共同】31日付の英紙サンデー・タイムズは、国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件で、スイス検察当局がブラッター会長(79)を聴取する方針と報じた。2018年と22年のワールドカップ(W杯)招致に絡む捜査の一環としている。
29日の会長選挙で5選を果たしたブラッター氏は、自身への捜査の可能性を否定している。しかし当局が聴取に踏み切れば、捜査は大きなヤマを迎えることになり、同氏の責任を追及する声が高まりそうだ。
ロイター通信によると、検察当局は31日、同氏を近く聴取する計画はないとした上で「必要が生じれば行う」と述べた。
同紙によると、ブラッター氏はスイスの法律上「容疑者と証人の中間的存在」として扱われ、聴取は長期にわたる可能性がある。検察がFIFA本部から書類を押収、関係者の銀行口座を凍結し、聴取に備えてきた。欧州サッカー連盟のプラティニ会長からも「情報提供者」として事情を聴く方針。18年W杯はロシア、22年はカタールでの開催が決まっている。
また南アフリカの10年W杯招致に絡んで、当時のワーナー副会長=起訴=に渡ったとされる賄賂1千万ドル(約12億円)の金の流れを、少なくとも2人のFIFA現職幹部が把握していた疑いのあることが、米司法当局の起訴資料や米メディアの報道で分かった。
賄賂は08年にFIFAの銀行口座から、ワーナー氏が管理する口座に3回に分けて送金された。ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版は送金額が巨額のため、通常であればFIFAのバルク事務局長と財政責任者のカットナー氏の承認が不可欠と伝えた。
04年の理事会ではワーナー氏らが10年W杯の南ア開催に賛成票を投じ、南アが勝利した。南ア側はワーナー氏らへの「謝礼」を政府資金から支出しにくいと判断。代わりにFIFAから南アに供与されるはずだった大会開催国への援助金を転用する形で、ワーナー氏側に金が渡ったとされる。
南アとワーナー氏は不正行為を全面的に否定している。