北方領土・歯舞群島の貝殻島周辺で1日、コンブ漁が解禁され、北海道根室市の歯舞漁協などの漁船238隻が早朝、一斉に出漁した。天候不良がなく、解禁日に操業開始するのは2012年以来。漁期は9月末まで。
晴天のもと、納沙布岬沖に集結した船団は、午前7時の花火の音を合図に約3.7キロ先の漁場へ向かった。近くの岸壁では、漁協関係者や家族らが日の丸の小旗を振りながら声援を送った。
3時間後に漁船が港に戻り、茶褐色のコンブが次々と水揚げされた。歯舞漁協の漁師、中村時雄さん(74)は「天気は最高で、トラックに山積みになるほど採れた。こんなことはめったにない」と笑みを浮かべた。
現在のコンブ漁は、根室の漁業者が好漁場を求めて旧ソ連の拿捕(だほ)を覚悟で貝殻島周辺に立ち入るケースが相次ぎ、1963年に民間協定が結ばれたのが始まり。今年ロシアに支払う入漁料は8784万円、漁獲枠は3600トンで昨年と同じだが、初日に出漁した漁船数は過去最少だった。〔共同〕