大阪市の橋下徹市長が市庁舎から職員組合を退去させたのは違法だとして、組合側が市側に処分取り消しと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が3日までに、大阪高裁であった。森義之裁判長は市側に計350万円の支払いを命じた一審・大阪地裁判決を変更し、計250万円の賠償を命じた。大阪市が組合活動への便宜供与を禁止する条例制定後の退去処分は適法と判断した。
市労使関係条例は2012年7月に成立。一審判決は、同条例に基づく処分を「団結権等を保障した憲法28条などに違反して無効」と判断。条例制定前の12年度分を含めて14年度分までを違法と認定した。
これに対し、大阪高裁の森裁判長は条例の規定を「直ちに憲法などに反するということはできない」とし、条例成立後の13、14年度の処分は適法と判断した。一方、12年度の処分は「庁舎内で(組合による)政治活動が行われる可能性を封じる目的だった」として賠償を命じた。
市労働組合連合会の黒田悦治書記長は13、14年度の処分が適法とされた点について「団結権を軽視し、不当と言わざるを得ない」と批判。上告を検討するという。
大阪市の上田隆昭総務局長は「市の主張が一定認められたと理解している。判決文を精査し、今後の対応を検討する」とのコメントを出した。