初公判から判決まで著しく長期に及ぶことが想定される事件の裁判について、国民が参加する裁判員裁判の対象から外し、裁判官のみで審理できるようにする改正裁判員法が5日、参院本会議で可決、成立した。裁判員の負担を軽くするのが狙いで、初公判から判決まで1年を超える事案を想定している。
現行法は裁判員らに危害が及ぶ恐れのある暴力団事件などに限って除外を認めているが、改正法は「審理期間が著しく長期で、裁判員の確保が困難と裁判所が認めるとき」を理由に加えた。
これまで裁判員の在任期間が最も長かったのは、神戸地裁で審理され、今年3月に判決が出た兵庫県尼崎市の連続変死事件の132日間。
また改正法は、性犯罪の裁判員選任手続きで裁判官が被害者の住所や氏名を明らかにするのを禁じる規定を新設。東日本大震災のような大規模災害の被災者は裁判員候補から外せるようにした。
2009年5月施行の裁判員法は付則で3年後に見直しを検討するよう規定。政府は昨年10月に改正案を提出したが、廃案になっていた。