判決後、記者会見で冨田真由さんの思いを述べる代理人の柴田崇弁護士(左)と高田沙代子弁護士=東京都立川市
判決後、記者会見した冨田さんの代理人弁護士によると、冨田さんはこの日は出廷せず、控室で判決内容を聞いた。「(求刑の)17年でも短いと思っていたのに」とだけ言い、沈黙したという。
小金井・女性刺傷、被告に懲役14年6カ月 地裁判決
冨田さんは弁護士を通じて談話を公表。「思い出したくない事件のことを思い返し、意見陳述を読み上げた。私や家族の苦しみが伝わらなかったと思うとやりきれない。たった約14年後には犯人が塀の外を歩いていると思うと、今から不安と恐怖しかない」と訴えた。自身の意見陳述を「ついたて1枚の向こうに犯人がいると思うと恐怖が襲いかかってきた」と振り返った。陳述中に被告が大声を出したことについては「恐怖から帰りたいという思いと、自分で陳述しなければという思いで読み上げていると、突然犯人に怒鳴られびっくりした。負けてはいけないと言い聞かせ、絶対に聞いて欲しいと思っていたところまでは読むことができた」と記した。
また、プレゼントを返すのが遅れたことを岩崎被告が動機としたことに触れ、「当時の事務所に『返してほしい』と預けたのに返してもらえなかった。残念でなりません」とコメント。「通報した方や精神科の先生が証人として話してくれ、皆さんの必死な思いで助けていただいたと改めて感じさせられた。本当にありがとうございました」と感謝の思いも記した。
■事件までの経緯
2014年6月ごろ 岩崎被告が冨田さんの芸能活動を知る
15年ごろ 舞台を見に行き花や本を渡す
16年1月 ライブ会場で誕生石つきの腕時計と本3冊を渡す。その後、冨田さんのツイッターに「要らないなら返して」と投稿
4月 腕時計などが返送される。冨田さんを罵倒する書き込みを繰り返す
5月9日 冨田さんが武蔵野署を訪れ、岩崎被告の言動について相談
14日 小金井市でのライブ開催を知り、ナイフを購入
19日 武蔵野署員が冨田さんに110番通報の方法について助言
21日 ライブ会場付近で冨田さんを刺す
17年2月20日 東京地裁立川支部で初公判
23日 冨田さんの意見陳述で「じゃあ殺せよ」などと発言して退廷を命じられる
28日 懲役14年6カ月の判決