【ニューヨーク=山下晃】5日のニューヨーク債券市場で、米長期金利の指標となる10年物国債利回りが一時2.43%と約8カ月ぶりの水準に上昇した。5月の米雇用統計が堅調な結果となり、米連邦準備理事会(FRB)による政策金利引き上げへの警戒感が広がった。金利上昇に加え外為市場でドルが上昇したことが嫌気され、同日のダウ工業株30種平均は前日比56ドル安と続落した。
朝方公表された5月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比28万人増と、増加幅が市場予想(約22万5千人)を大きく上回った。米景気の先行きに強気な見方が広がり、債券市場ではFRBによる年内利上げへの警戒感が広がった。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁が講演で年内利上げに言及したことも、米国債利回りの上昇圧力となった。10年債利回りは前日比0.10%高い(価格は安い)2.40%で終え、金融政策の影響を受けやすい2年債利回りは0.05%高い0.71%で終えた。
外為市場では米金利上昇で相対的に投資対象として魅力が高まったドルを買って円を売る動きが活発になった。円の対ドル相場は一時、1ドル=125円86銭と約13年ぶりの安値を付けた。
利上げ観測は株式市場でも売りを誘い、ダウ平均は前日比56ドル12セント(0.3%)安い1万7849ドル46セントとほぼ1カ月ぶりの安値で終えた。ドル高が米国外で事業展開する米企業の業績の重荷になるとの見方が広がったこともマイナス要因。ギリシャの財政問題を巡る交渉の不透明感が投資家心理を冷やした面もあった。