情報通信分野の技術動向や将来展望を議論する「世界ICT(情報通信技術)サミット2015」(日本経済新聞社・総務省主催)が8日午前、日経ホール(東京・千代田)で開幕した。あらゆるものがネットワークにつながる「IoT(インターネット・オブ・シングス)」など最新技術が発展するなか「インテリジェンスが築く都市・ビジネス・社会」をテーマに9日まで討議する。
講演する日本アイ・ビー・エムのポール与那嶺社長(8日午前、東京・大手町)
講演した日本IBMのポール与那嶺社長は「クラウドコンピューティングやビッグデータ、ソーシャルなど『第3世代』と呼ぶ新しい技術基盤を活用するベンチャー企業が世界で急成長している」と語り、新潮流が生まれていると指摘した。
そのうえで日本企業はIoTの領域で「今後4~5年で世界一になる可能性がある」と強調した。その実現のためには「海外の成功事例をもっと研究し、日本で活用していくべきだ」と促した。米IBMと米アップルが法人向けサービス開発で提携したことに触れ、日本郵政を交えた高齢者向け事業戦略を紹介した。
NTTの鵜浦博夫社長は「2020年の東京五輪は日本型ビジネスモデルを生むチャンスだ」と主張。翻訳アプリ(応用ソフト)や3次元(3D)映像配信が可能になると説明し、「サービスや技術の標準化で企業間連携が欠かせない」と訴えた。「アジアでも受け入れられる共存型モデルが必要だ」とも強調した。
ソフトウエア開発サービスの米ピボタルラボのロブ・ミー社長はグーグルやフェイスブックなど米IT(情報技術)企業が「ソフトウエアで従来型産業を破壊的に変え、大きな価値を生んでいる」と強調。あらゆる会社が既存大手の競合になり得るとし「すべての企業がソフトウエアに主軸を置くべきだ」と主張した。
午前のセッション(討論)では、膨大な収集データを製造現場で活用する戦略などについて議論した。