「世界ICTサミット2015」(日本経済新聞社・総務省主催)は8日、「新たな成長を促すデータビジネス」をテーマに国内外のICT(情報通信技術)専門家がパネル討論した。インターネット技術を「産業」分野に活用し、いかにビジネスを変貌させるかについてのヒントを探った。
討論する(左から)米GEソフトウェアのビル・ルーバイスプレジデント、東芝の錦織執行役上席常務、ブレインパッドの草野社長、米ピボタルラボのロブ・ミー社長兼創業者(8日午前、東京・大手町)
米GEソフトウエアのビル・ルー・バイスプレジデントは、「産業分野でのインターネット活用はこれからの10年、何兆米ドルもの価値を生み出す」として、市場の巨大化に期待を示した。医療や物流など、特定の産業に特化したアプリケーションを開発し、ソフトウエアによって新規事業を創出して利益を高める重要性を訴えた。
東芝の錦織弘信執行役上席常務・インダストリアルICTソリューション社長は、データの氾濫やセキュリティーなどが産業分野でのインターネット活用を進めるうえでの課題と指摘。それらの解決に注力し、パートナーとのエコシステムを構築しつつ、工場の無人化や都市のスマート化に取り組む方針を示した。
日本の企業はデータの本格的な活用に踏み切れるのか――。データ分析事業を手がけるブレインパッドの草野隆史社長は「米国などと比べ、日本企業はIT(情報技術)投資を『守り』と捉え、データ活用に消極的」と説明。そんな中で、「(斬新な発想をもつ)ベンチャー企業としての強みを発揮し、観光や買い物、ペット医療など様々な領域でのデータ活用に挑戦したい」と語った。
米ピボタルラボのロブ・ミー社長兼創業者は「分析の対象になるデータ量はどんどん増えているので、最新の技術を駆使して対応策を急ぐ必要がある」とした。