【NQNニューヨーク=神能淳志】11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸した。終値は前日比38ドル97セント(0.2%)高の1万8039ドル37セントだった。米景気の回復期待や欧州株高を背景に買いが先行した。ただ、ギリシャの金融支援を巡る不透明感が改めて意識されると、相場は伸び悩んだ。
前日には独仏首脳とギリシャ首相が会談し、金融支援を巡る交渉を続けることを確認した。ギリシャ政府と債権団との合意が近いとの楽観的な見方から、ギリシャの株価指数が8%超上昇。欧州株が総じて堅調に推移し、米株式相場にも買いが及んだ。
米商務省が11日発表した5月の米小売売上高は前月から1.2%増えた。米寒波などの悪影響から着実に脱したとの見方から米景気の回復期待が高まり、米株式の買いにつながった。ダウ平均は午前に上げ幅を100ドル強に広げる場面があった。
買いが一巡した後は次第に伸び悩んだ。デフォルト(債務不履行)回避に向けた進展がみられないことから、国際通貨基金(IMF)がギリシャとの支援交渉を中断した。同国の支援を巡る交渉の行方が不透明だとして、欧州株が上げ幅を縮め、米株式の売りを誘った。取引終了にかけて手じまい売りが広がったことも相場の重荷となった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も小幅続伸し、前日比5.820ポイント(0.1%)高の5082.509で終えた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち7業種が上昇した。「公益事業」「電気通信サービス」などが上げた。一方「エネルギー」や「生活必需品」は下げた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約7億9000万株(速報値)、ナスダック市場は約15億7000万株(同)だった。
個別銘柄ではスポーツ用品のナイキが高い。米プロバスケットボール協会(NBA)と8年間の公式スポンサー契約を結んだと発表し、業績拡大を期待した買いが入った。天然ガス精製施設など事業権益の一部を売却すると発表した石油・ガス大手のヘスも業績改善を期待した買いが膨らんだ。
一方で、ゼネラル・エレクトリック(GE)が安い。一部報道で、仏重電大手アルストムのエネルギー事業買収を巡って、欧州の規制当局が懸念を示す見通しだと伝わったことが嫌気された。都市問題の解決に取り組む新会社設立を発表したグーグルも下げたほか、原油先物相場の下落を受けてシェブロンなど大手石油株も売られた。