【ワシントン=矢沢俊樹】米議会下院は18日の本会議で、環太平洋経済連携協定(TPP)妥結の前提となる大統領貿易促進権限(TPA)法案を賛成多数で再可決した。可決のメドが立たない関連法案から切り離し、単独の法案として改めて採決した。今夏のTPP合意を後押しするため、すみやかに上院に送り早期成立を目指す。上院での採決は難航するとの観測も出ている。
下院多数派を握る野党・共和党がTPPに不可欠なTPAを優先的に通してオバマ大統領の署名を得るため、再採決に踏み切った。賛成218、反対208の過半数で可決した。上院では下院よりも再可決のハードルが高いとの見方があり、与野党の対応が焦点になる。
TPA法案はもともと失業者救済のための財政措置の延長を柱とする貿易調整援助(TAA)法案との一括法案だ。ところが12日の下院採決ではTPAは通ったものの、TAAが与党・民主党の反対で否決され、TPA自体も前に進まなくなっていた。下院共和は次善の策としてTPA、TAAを分離して再採決し、TPAを優先して成立させる方針に転換した。