京都大霊長類研究所とドイツの研究チームは20日までに、人に近縁の類人猿「ボノボ」は仲間同士で視線を合わすアイコンタクトの頻度がチンパンジーに比べて多いとする研究論文をまとめた。ボノボのコミュニケーション能力の高さを示唆する結果という。成果は米科学誌「プロスワン」に掲載された。
20頭のチンパンジーと14頭のボノボに仲間の写真が映った画面を見せ、眼球と瞳孔の位置から視線の動きを分析した。
仲間の全身写真を60枚ずつ各3分間、画面に映すと、ボノボは平均54秒、チンパンジーは同36秒、顔の辺りを見ていた。仲間の顔写真を30枚ずつ各1分半見せると、ボノボは平均27秒、チンパンジーは同18秒、目の部分を見つめた。
ボノボはアフリカ中部に住む類人猿で、進化の過程でチンパンジーから分かれた。チンパンジーより小柄で、仲間同士で食べ物を分け合うなどの性質を持つとされる。
研究チームは、今回の研究成果はボノボが他者に親愛の情を示すことが多いとする仮説を裏付ける証拠の一つだとみている。