1964年の東京五輪の象徴となった国立競技場(東京)の聖火台が27日、移設された東日本大震災の被災地・宮城県石巻市で点火され、燃えさかる炎に被災者らが故郷の再生を祈った。
聖火台は直径、高さとも約2.1メートル、重さ約2.6トンで、市総合運動公園のコンクリート製台座の上に設置。アテネ五輪の陸上男子ハンマー投げ金メダリスト、室伏広治さん(40)が火の付いたトーチを聖火台にかざすと、オレンジ色の炎が勢いよく空に舞い上がった。
室伏さんは「みんなの笑顔が見られてよかった。(聖火台の設置で)東北の復興に拍車が掛かってほしい」と語った。知人が津波の犠牲になったという同市の大工、青木三夫さん(66)は「つらいことがたくさんあったが、火が付いたときは感動した。希望の明かりになる」と喜んだ。
聖火台は、石巻の誘致委員会が設置を要望。国立競技場が2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて建て替えられる期間中、市に貸し出すことが決まった。〔共同〕