口永良部島・新岳(鹿児島県屋久島町)の爆発的噴火で避難した住民向け説明会が29日、屋久島で開かれ、全住民が数回に分けて一時帰島する方向で、町と住民側が協議していく方針を確認した。梅雨明けに実現する見通しで、住民側が今後、順番などを決める。
全島避難から1カ月が過ぎ、荒木耕治町長は記者会見で「町として細かい支援をしていきたい。一日も早く帰してあげたい思いだ」と述べた。
これまでは消防団員ら住民の代表者が島に入りペットを救出するなどしてきたが、今後は全住民の一時帰島を目指す。町営フェリーを使い、島に残してきたマイカーや家畜も運び出す予定。住民側の窓口になる消防団の貴舩(きぶね)森さん(43)は記者団に「帰島の順番などで不満は出ると思う。課題は山積みで、一つ一つ解決したい」と記者団に語った。
荒木町長は記者会見で、まず道路など島内の状況を確認するための一時上陸が必要との考えを示した。
説明会は非公開。町によると、住民からは「一時帰島は短時間ではなく滞在型にできないか」といった要望や、生活支援の充実を求める声が出た。避難の長期化に備え、町は就労希望を聞くアンケートもした。
会合後、林信昭さん(69)は「早く帰るのが一番の望みだが、相手は火山という自然。自分たちではどうしようもない」と話した。〔共同〕