日本経済新聞デジタルメディアが6月30日に算出した2015年5月の日経景気インデックス(日経BI、速報値)は前月から1.3ポイント下落し103.0(2010年平均=100)となった。この動きを内閣府の景気動向指数による判断基準に照らすと、景気の基調判断は「改善」から「足踏み」へ変わる。同時に公表した4月の確報値は、速報値から0.3ポイント上方修正の104.3だった。
景気の水準と勢いを示す日経BIは、鉱工業生産、所定外労働時間、有効求人倍率、商業販売額の4指標に共通する「景気の波」を取り出して指数化している。
■5月は3指標が悪化
5月は日経BIの構成4指標のうち有効求人倍率を除く3指標が悪化した。鉱工業生産は前月比2.2%下落した。国内販売も輸出も振るわない輸送機械工業や、スマートフォン(スマホ)向けの部品が低迷する電子部品・デバイスなど15業種中12業種で生産指数が下落した。製造工業生産予測調査によると、6月は前月比1.5%上昇、7月は同0.6%上昇する見込みだ。経済産業省は生産の基調判断を「一進一退」に下方修正した。
サラリーマンの所得変動を示す所定外労働時間(規模30人以上)の前月比は1.3%減と2012年7月以来の大幅減だった。建設業などでは増加したが、製造業が前月比2.7%減となったほか、卸売・小売業なども前月を下回った。
需要動向を示す商業販売額は前月比2.0%減と、3カ月ぶりにマイナスになった。小売業は飲食料品や百貨店など各種商品が上向き同1.7%増。しかし卸売業では電気機械器具や自動車などが落ち込み、前月比3.1%減だった。
公共職業安定所(ハローワーク)での求職者1人あたりの求人件数を示す有効求人倍率は、前月比0.02ポイント上昇の1.19倍だった。有効求人数は前月比0.7%増、有効求職者数は同1.3%減だった。
(日本経済新聞デジタルメディア 萬年 美樹)