モデルの押切もえさんなど芸能人の女性ら4人のメールをのぞき見したとして、不正アクセス禁止法違反などの罪に問われた元日本経済新聞社員、寺井淳被告(29)=懲戒解雇=の初公判が2日、東京地裁であった。寺井被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は「女性たちが受けた精神的苦痛は大きい」として懲役2年6カ月を求刑。弁護側は「パスワードは他人に教えず、不正アクセスのアカウントもすべて削除した」として、執行猶予を付けるよう求めた。判決は24日に言い渡される。
寺井被告は事件当時、同社のデジタル編成局に所属。2014年12月、押切さんのスマートフォンのメール設定サイトに不正にアクセス。15~16年にも元アイドルら3人のメールなどをのぞき見したとして起訴された。
検察側は冒頭陳述で、寺井被告が女子大生になりすまして、SNSでミスコン出場者らのメールアドレスや携帯電話の番号を入手していた、と主張。13年ごろから、「きれいな女性の情報を知りたい」「ゲーム感覚でパスワードを突破するのが楽しかった」という動機で、パスワードを類推し、グラビアアイドルや女子アナなど60人近くの個人情報を不正に得たと指摘した。
公判では、押切さんの供述調書も読み上げられた。「私の住所も予定も知られ、犯人が逮捕されるまで気が張り詰めていた。犯人には持っている技術を悪いことに使わないようにしてもらいたい」。被告人質問で寺井被告は「ネット上で知り合った人なら多少迷惑をかけてもいいかな、と甘い考えだった」と述べた。(志村英司)