連覇まであと1つ――。2日(日本時間)のサッカーの女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会準決勝で日本代表「なでしこジャパン」は勝ち、2大会連続の決勝進出を決めた。過去4戦で勝てなかったイングランドとの一進一退の攻防から、相手のオウンゴールでの幕切れという劇的な展開。「最後も自分たちのサッカーを」。国内や現地で声をからしたサポーターは期待を膨らませた。
先発出場した川澄奈穂美選手(29)や大野忍選手(31)の地元、神奈川県大和市のホールには朝早くから約120人が集まった。同市が本拠地の女子サッカーチーム「大和シルフィード」応援団のたたく太鼓の音に合わせ、赤いスティックバルーンを打ち鳴らした。
前半30分すぎの日本のPKで、主将の宮間あや選手(30)の先制ゴールが突き刺さると、会場は日本コール一色に。ところが相手にもPKを決められ、声援がため息に変わる場面もあった。
大和市内の自営業、梅田安代さん(70)は大野選手と家族ぐるみの付き合い。本人にもらったというユニホームを着て「なでしこの活躍で活力をもらえる」。大野選手の父親の大野光夫さん(64)は「応援が力になっている」と話す。
後半ロスタイム、クリアしようと相手選手が蹴ったボールがそのままゴールに入り、日本の決勝点に。劇的な幕切れに会場は総立ちになり、日本コールが響き続けた。
市内の会社員、馬場優子さん(52)は「最高。延長かなと思っていたので、うれしくて泣いてしまった」と目元をぬぐった。長女の栞さん(19)は「決勝も自分たちのサッカーをやりきって」と興奮していた。
川澄選手を小学校時代に指導した加藤貞行さん(67)は「(決勝点となった)ゴールは、パスを入れた川澄のゴールだ。小さい頃から休まず練習に励む選手だったが、W杯で活躍するほど成長するとは思わなかった」と目を細めた。