四回を終え、投手交代を告げた小久保監督=諫山卓弥撮影
(14日、WBC2次リーグE組 日本8―5キューバ)
3度追いついた日本が、最後はキューバを振り切った。小久保監督の勝負手が、ここぞで決まった。
内川、食らいついて決勝犠飛
同点の八回1死一、三塁。この日2安打の小林に打席が回ると代打内川を送った。ベテランは厳しい球をファウルにして好球を待つ。追い込まれた4球目。外の変化球に食らいつき、右飛を打ち上げた。タッチアップした三塁走者の松田が両手を上げて、生還した。場内の興奮が収まらない中、続く山田は初球を2ラン。試合が決まった。
小林は好調で、捕手を代えたくない考えもあった。小久保監督は「迷った」と打ち明けたが、内川を使いたいという思いが勝った。2人は元同僚。何度も1対1で会って、ひざ詰めで話をしてきた。「たとえ先発じゃなくても力になってくれ。勝負どころで使う」。そう繰り返し伝えてきた。
指導者経験がないまま代表監督になり、一昨年のプレミア12では継投失敗を批判された。それを受け止めた上で「選手と年も近い。兄貴分という立ち位置でいい」と腹を決めた。約束通りの起用に内川は奮い立った。「いつも以上に緊張した」と目を見開き、気迫をみなぎらせてくれた。山田を3試合ぶりに1番に打順を戻したのも、はまった。
最近は食事がのどを通らない。ベンチの中での表情も苦しげだが、試合後の言葉はぶれない。「今日までのことは過去」。一戦必勝で臨んだ結果が5連勝。米国行きは、もう目の前だ。(伊藤雅哉)