政府の「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム」のチームは4日までに、肺がんや胃がんなど21種類約2千症例のがん細胞のゲノム(全遺伝情報)を解読したと発表した。
がんは正常な遺伝子が発がん物質などさまざまな要因により、突然変異を起こし、それが蓄積して起きる。患者の正常な細胞とがん細胞の遺伝情報の違いを比較して、がんの発生原因を探るのが狙い。
順次インターネット上で公開する。チームの間野博行東大教授(細胞情報学)は「日本で初めての大規模ながんゲノムのデータとなる。治療法や創薬の開発などに活用されると期待している」と話している。
ゲノムは遺伝情報を担うDNAに含まれる塩基対の全配列のこと。人の細胞では約30億対ある。
チームは、症例ごとにがん細胞の塩基配列をデータベース化。国の審査を通過した研究者らに対してのみ閲覧できるようにする。このほか、がんの種類ごとに、変異することが多い遺伝子のリストを作成した。いずれも個人情報は分からないようにしている。〔共同〕