内閣府が6日発表した5月の景気動向指数(2010年=100、速報値)は、景気の現状を示す一致指数が前月より1.8ポイント低い109.2となり、2カ月ぶりに悪化した。生産や個人消費に関連する指標が落ち込んだ。内閣府は基調判断を9カ月ぶりに引き下げ、「足踏みを示している」とした。中国経済の減速などを受け、景気回復の動きは一時的に弱まっている。
基調判断は4月まで「改善を示している」としていた。5月は一致指数を構成する11指標のうち、耐久消費財出荷指数や鉱工業生産指数など9指標が低下方向に働いた。
自動車や家電など耐久消費財の出荷指数は前月比5.9%低下。自動車は生産や小売り関連の指標も低迷した。アジアで製造するスマートフォン向けの電子部品の需要が減ったことも生産を押し下げた。
景気回復の動きが一服したのは、中国経済の減速で輸出が伸び悩んだことが大きい。財務省の貿易統計によると、中国向けの輸出は数量ベースで5月まで4カ月連続で前年を下回った。
国内の消費も力強さを欠く。消費増税後の反動減は一巡したものの、「次の消費増税や社会保険料の引き上げをにらみ、家計は節約志向を強めている」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士主任研究員)。
数カ月先の景気を示す先行指数は106.2と0.2ポイント低下した。内閣府は月々の振れをならすと上向きの動きが依然続くとみている。在庫の積み上がりが指数を下押しする一方、新規求人数や消費者心理は改善した。5月は株価など金融環境も堅調だった。
6月の日銀企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断指数はプラス15と3四半期ぶりに改善した。収益の改善を背景に、企業は設備投資への前向き姿勢を強めている。「7月以降は回復軌道に戻る」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)と、景気回復の流れは途切れていないという見方が多い。