【アテネ=竹内康雄】ギリシャ政府は6日、同日までの予定だった国内銀行の営業停止措置を8日まで延長する方針を決めた。欧州中央銀行(ECB)が6日、ギリシャの銀行への資金供給の増額を見送ったためだ。ECBは資金供給の条件をさらに厳しくする構えで、営業停止期間は9日以降も続く可能性がある。一方、6日に会談した独仏首脳はギリシャに対し、財政再建の「真剣な提案」を早期に示すよう促した。
ECBは6日の臨時理事会で、ギリシャ国内の銀行の資金繰りを支えている「緊急流動性支援(ELA)」の上限額(約890億ユーロ=約12兆円)を現状のまま維持することを決めた。ELAを供給する際に、ECBが受け取るギリシャ国債など担保の価値も引き下げる。ギリシャ経済の混乱で、同国国債の価値が低下していると判断した。
預金の流出が続き、ギリシャの民間銀行の手元資金は枯渇しつつある。ギリシャ政府はECBに資金供給の上限を増額するよう要請していたが、ECBは事実上拒否した。ギリシャの銀行が営業を再開しても顧客の資金需要には応えられず、銀行休業を余儀なくされた。
ギリシャのチプラス政権は7日にブリュッセルで開くユーロ圏首脳会議に新たな財政再建案を示すとともに、金融支援を要請する構えだ。欧州連合(EU)などの債権団と早期に合意し、追加資金を引き出して金融システムを正常化する狙いがある。ギリシャはバカンス期のかき入れ時で、銀行機能のまひが続けば経済に一段の悪影響を与える。ギリシャ銀行協会によると、一日60ユーロの預金引き出し上限は維持される。
オランド仏大統領とメルケル独首相は6日夜、パリで会談した。両首脳は「ギリシャ政府は(交渉再開に向け)真剣な提案をする必要がある」とチプラス氏に呼びかけた。オランド大統領は「ギリシャに長期的展望を与える、信頼できる提案が必要だ」と表明。メルケル首相は「即座に詳細な提案をすべきだ」と語った。
6日夜には、ギリシャのチャカトロス外務副大臣が財務相に就任した。同氏は債権団との交渉の責任者を務めてきた。バルファキス前財務相は債権団との折り合いが悪かったとして6日に辞任した。