14日午前9時43分ごろ、熊本県・阿蘇山の中岳第1火口で噴火が発生したと気象庁が発表した。同庁は噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。火口上空に約2千メートルの噴煙が上がった。同庁は火砕流が発生した可能性があるとみて、噴火の規模や影響の範囲を調べている。
14日午前、噴火した阿蘇山の画像(気象庁ホームページより)
首相官邸は同日午前、危機管理センターに情報連絡室を設置。安倍晋三首相は官邸で記者団に「自治体と連携を密に取りながら、人命を第一に安全確保に向けて政府一丸となって万全を期したい」と強調した。
気象庁によると、噴火で火口から大きな噴石が飛んだことが確認された。大きな噴石を飛ばす規模の噴火は1990年4月以来。火砕流が確認されれば79年以来となる。
同庁は「今後も同程度の噴火が発生する恐れがある」として、火口から半径約2キロの範囲で噴石や火砕流に警戒を求めた。マグマが水蒸気とともに噴き出す「マグマ水蒸気噴火」だった可能性が高いとみている。
熊本県警などによると、午後0時30分時点で噴火による人的、物的被害の情報は入っていない。
地元自治体は火口から4キロの範囲の立ち入りを規制した。対象は熊本県阿蘇市、高森町、南阿蘇村にまたがる。
阿蘇山の警戒レベルが3に上がるのは、2007年12月の制度運用開始以来初めて。火口の西側で降灰が予想され、阿蘇市と南阿蘇村では1ミリ以上の降灰となる見通し。熊本市でも少量の灰が降る可能性がある。