【アトランタ=黒瀬泰斗】甘利明経済財政・再生相は29日(日本時間30日)、米アトランタで30日から始まる環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合について「まさに最後の最後だ」と強調し、大筋合意を目指す考えを示した。宿泊先のホテルで記者団の質問に答えた。交渉参加12カ国は2日間の日程で全体会合や2国間協議を重ね、知的財産や乳製品など難航している分野での決着を図る。
閣僚会合は現地時間30日午後2時(日本時間10月1日午前3時)から全体会合を開く予定。米通商代表部(USTR)の発表では30日と10月1日の2日間にわたって協議する。甘利氏は「今回を逃すと、各国の政治日程が動き出し、失敗すれば年単位で漂流するという危機感は各国が持っている」と強調した。
アトランタで29日までの4日間の日程で開催されていた首席交渉官会合は、自動車分野などで交渉の進展が見られた。鶴岡公二首席交渉官から報告を受けた甘利氏は「残されている問題の整理はだいぶ進んできた。それぞれの課題に差はあるが、前進していることは確かだ」と評価した。
一方、医薬品のデータ保護期間を含む知的財産や乳製品などの問題では、各国の主張の隔たりは依然として大きい。閣僚会合の期間中も事務折衝を続け、間合いが詰まった段階で2国間や多国間の閣僚協議を開き、政治決着を目指す考えだ。
全体会合に先立ち、甘利氏は29日夜にオーストラリアのロブ貿易・投資相と夕食をともにし、事実上の2国間協議を開いた。そのほか、期間中にはUSTRのフロマン代表とも2国間で協議し、日米間で焦点となっているコメの最終的な決着を図る予定だ。
乳製品を巡っては、ニュージーランドのグローサー貿易相とも協議し政治決着を探る。ただ、日本政府は「こちらから提示できる範囲は限定されている」(甘利氏)として、簡単には譲歩しない考えを示しており、厳しい交渉が予想される。