【北京=大越匡洋】中国国家統計局は14日、9月の卸売物価指数が前年同月に比べ5.9%下落したと発表した。下落幅は前月と同じで、リーマン・ショック後の2009年9月以来、6年ぶりの大きさが続いている。下落は43カ月連続となった。製造業を中心に企業活動が鈍い。消費者物価指数(CPI)は1.6%上昇し、上昇幅は前月から0.4ポイント縮小した。
卸売物価指数の前年同月比の下落幅は7月から3カ月連続で5%を超えている。9月の指数を前月比でみた場合でも0.4%下落した。国家統計局は「石油加工、鉄鋼、石炭」など伝統的な重厚長大産業の製品価格の下落が大きいとみている。
中国は景気を下支えするため、昨秋からの相次ぐ利下げなど金融緩和を続けている。ただ製造業は過剰な生産能力を抱え、製品価格の下落に歯止めがかからない。新たな設備投資など企業活動が鈍り、景気全体を下押しする要因となっている。
9月のCPIは食品の価格が2.7%上昇、食品以外は1.0%の上昇だった。中国の食卓に欠かせない豚肉の価格は17.4%上昇と高止まりしているが、景気が減速するなか、CPI全体の伸びは低水準が続く。物価の伸びが鈍り、中国当局が追加金融緩和に動く余地は広がったといえる。