日本銀行は10日、4月26~27日の金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。会合では経済・物価見通しから、目標の「物価上昇率2%」の達成時期を削除した。主な意見では、2%達成に時間がかかるとの見方から削除に踏み切ったことがうかがえ、達成を日銀が約束していることが不明確になるとして、削除への反対意見も出ていた。
物価上昇率については、プラス幅が拡大するとの見方もあった。逆に委員からは「(人手不足などによる)需給逼迫(ひっぱく)が、企業の(値上げなど)前向きな動きにつながっているが、2%に押し上げるほど力強いとはいえない」「達するには時間がかかる」との悲観論も相次いでいた。
達成時期の削除にあたっては、「記述を修正しても『早期に実現する』というコミットメント(約束)は、全く変わらないことを示す必要がある」との声があった。一方で、「達成に向けたコミットメントを弱めてしまうことになりかねない。達成時期の明記と追加緩和が必要」と反対論を述べる委員もいた。
また、「現在の政策の要はコミットメントにある。強化する手段がないか、更なる研究と議論が望ましい」と、さらなる緩和策の検討を求める声もあった。
黒田東彦総裁は10日の東京都内での講演で、「(2%を達成する具体的な)期限を念頭に置いて、金融政策を運営している訳ではない」と述べた。ただ、時期を削除したことが「『物価安定の目標』の位置づけや性格を変更したものではない」とも強調した。(湯地正裕)