【ニューヨーク=稲井創一】米IBMが19日発表した2015年7~9月期決算は、売上高が前年同期比14%減の192億8000万ドル(約2兆3000億円)となった。ドル高や一部新興国市場の低迷で、14四半期連続で減収となった。戦略分野のビッグデータ分析やクラウド事業は伸びたが、為替の影響などを補えず、15年12月期通期の1株利益見通しを引き下げた。
7~9月期の売上高は為替の変動や昨年売却した低価格サーバーの売上高がなくなった影響などを除いても1%減の193億ドル。外国為替市場でドルが円やユーロに対し上昇したことによる減収は19億ドル(2280億円)となった。
地域別でみると中国をはじめとする新興国が35%減収と大きく落ち込んだ。ハードウエアやサービスなどが軒並み減収で米国も7%の減収となった。堅調を維持した日本以外、売上高が伸びない状況が続いている。
7~9月期の純利益は29億5000万ドルと前年同期(1800万ドル)に比べ大幅に増えたが、前年は半導体製造部門の売却に伴う約47億ドルの費用計上があった。継続事業でみた純利益で比較すると実質的には14%減の29億ドルだった。通期は特別項目を除いた営業利益ベースの1株利益予想を14.75ドル~15.75ドル(従来予想は15.75ドル~16.50ドル)に引き下げた。
バージニア・ロメッティ最高経営責任者(CEO)は19日発表した文書で「15年7~9月期は付加価値の高い分野への構造改革が進展した」とした。戦略分野の売上高は17%伸びた。ただ、長引く減収傾向や1株利益見通しの引き下げが嫌気されて、IBM株は19日の時間外取引で約5%下落した。