2017年度一般会計予算案の概要と問題点
2017年度当初予算案は27日、戦後2番目に並ぶ早さで衆院を通過し、今年度内に成立する見通しとなった。予算規模は過去最大を5年連続で更新。アベノミクスの減速で税収は伸び悩み、財政再建への道筋は見えないが、国会審議は低調だった。
27日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相は「1億総活躍の未来を切り開けば、少子高齢化の課題も必ず克服できる。現実に立ちはだかる壁を一つ一つ取り除いていく」と訴えた。予算案の目玉と位置づける保育士や介護職員の賃金引き上げや、返済がいらない給付型奨学金の創設などをアピールした。
ただ、前向きな予算はこのぐらいで、借金の重さに縛られているのが実情だ。高齢化による社会保障費の増大もあり、一般会計の予算総額は過去最大の97兆4547億円。17年4月の消費増税を2年半先送りしながら、増税分を充てるはずだった年金の受給資格の緩和などを実施したため、無理を重ねている。
たとえば、賃金引き上げなどの財源は、失業給付への国庫負担の割合を時限的に引き下げて確保した。本来、当初予算で確保すべき低所得者向けの給付金の財源を、16年度第2次補正予算で2年半分一括計上する「奥の手」も使った。
社会保障費の伸びを抑えるため、一部の高齢者の医療費の負担上限を引き上げるなどの負担増も実施した。一方で、首相のこだわりが強い防衛費は5年連続で増えて過去最大となっており、野党からは「暮らしのための予算を圧迫している」(共産党議員)といった批判も出た。
しかし、子育て支援などをもっ…