大学入試改革の具体策を議論する文部科学省の高大接続システム改革会議は28日、国公私立大学や高校の関係者でつくる9団体からのヒアリングを実施した。大学入試センター試験に代わる新たな共通テストの導入など、改革の方向性を評価する声が上がった一方、問題のイメージが示されていないことなどに注文や批判が相次いだ。
同会議が9月に発表した「中間まとめ」によると、2020年度に導入予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は選抜性の高い大学も利用できるよう、高難度の問題を含む。これに伴い、各大学の個別試験では原則として学力は問わず、エッセーや面接など多様な観点で受験生を評価するとしている。
この日のヒアリングで国立大学協会理事の片峰茂・長崎大学長は「(テストの)イメージが全くつかめない。多くの国立大はテスト導入後もしばらくは個別試験で学力を問うだろう」と述べた。同テストの問題イメージがないことから、受験生に求める学力はこれまで通り個別試験で把握するしかないと考える大学が目立つという。
ほかの団体からは学習成果を測る目的で19年度に始まる「高校基礎学力テスト(同)」と学力評価テストがともに年複数回の実施を予定していることについて「高校生がテスト対策に追われる」との批判があった。
同会議は今年度末までにまとめる最終報告に合わせ、両テストの問題イメージを公表することにしている。