ノーベル生理学・医学賞に決まった大村智北里大特別栄誉教授らが開発した薬イベルメクチンが、感染症の「糞線虫症」にも高い効果があることを南米エクアドルでの20年以上の調査で裏付けたと、世界保健機関(WHO)などのチームが5日付の米科学誌に発表した。
本来の治療目的である「オンコセルカ症(河川盲目症)」の撲滅後も、感染症の恐れがある住民に広く投与を続けるべきだと訴えている。
糞線虫症は熱帯を中心とする寄生虫が原因の感染症。呼吸障害や下痢などを起こし重症化すると死亡する。
チームはエクアドル北部で1990~2013年に断続的に調査。河川盲目症の治療のためにイベルメクチンを投与した地域では7%近くいた糞線虫症の感染者がいなくなり、07年の投与中止後も新たな感染はほとんど出なかった。河川盲目症がなく投与されなかった地域は2割前後が感染し続けていた。〔共同〕