東山動植物園の入り口には、鳥インフルエンザ発生の疑いを知らせる看板が置かれ、来場者は消毒用のマットを踏んで入った=7日午前9時すぎ、名古屋市千種区、小川智撮影
鳥インフルエンザに感染した疑いのあるコクチョウが見つかった東山動植物園(名古屋市千種区)では7日早朝から、園の職員が消毒作業に追われた。午前9時に通常通り開園したが、鳥が飼育されている場所は一部立ち入り禁止に。来園者にも消毒を呼びかける異例の態勢が敷かれた。市内では鳥とふれ合うイベントが中止になるなど影響も広がっている。
動植物園で鳥インフルの疑い 飼育のコクチョウ 名古屋
園では職員約20人が午前6時半ごろから、上下白の防護服とマスクに身を包み、死んだコクチョウが飼育されていた正門近くの胡蝶(こちょう)池周辺などを消毒した。開園時間前には入場口に消毒液を染みこませたマットを設置。職員は切符売り場周辺などで来園者に靴底の消毒を呼びかけた。園内では胡蝶池など鳥を飼育している施設計3カ所に赤いコーンなどが置かれ、立ち入り禁止の措置が取られた。
同市東区の伊藤真意さん(40)は長男和真くん(3)と来園した。直前に鳥インフルエンザの疑いを知って驚いたが、動物に「さわりすぎないよう、注意すれば大丈夫」と考え、訪れたという。長女結花ちゃん(2)と来園した門山晶子さん(31)は来園して初めて事態を知り、「あまりよくわからないので、不安は感じる」と話した。
名古屋市内では影響も広がっている。名古屋コーチンなど約1千羽のニワトリを飼育展示している市農業センターは、毎週土曜に開いていた来場者がヒヨコとふれ合えるイベントを、当面の間中止にすると決めた。今のところ鳥インフルエンザが疑われるような事例は発生していないという。
同センターでは、名古屋コーチン約900羽などを檻(おり)で飼育展示している。今後しばらく、檻の前に柵を立て、来場者には普段より約1メートル後方から見学してもらう。約170羽のペンギンを飼育する名古屋港水族館では、23日から来年2月にかけ毎回約6羽のジェンツーペンギンが屋外の広場を歩き回る恒例イベント「ペンギンよちよちウォーク」の開催について中止か延期を検討するという。