放射線医学総合研究所と原子力施設メンテナンスのアトックスは6日までに、高性能で小型のヘルメット型陽電子放射断層撮影装置(PET)を共同開発したと発表した。従来のPETはベッドに横になった人が入り込む形だったが、新型は頭にかぶり座った状態で検査できる。認知症の早期診断や治療法の開発などに役立つと期待される。
PETは患部に集まる薬剤を注射し、薬剤が放つ放射線を検出器でとらえて病巣を探る。
研究チームは、あらゆる方向から飛んでくる放射線を高感度でとらえる検出器を開発。検出器を頭部に近づけることができるようになり、感度が3倍以上、画質の解像度も従来の2~3倍に上がった。
認知症の一種であるアルツハイマー病は、アミロイドβやタウと呼ばれるたんぱく質が脳に蓄積して発症する。新型PETは感度が高いため、たんぱく質が脳に蓄積するごく初期の様子がわかるとみられる。アルツハイマー病の早期発見につながり、治療薬を投与する時期の判断にも役立つとみている。
検出器の数が従来型の約5分の1と少なく、装置の価格を大幅に下げられるのも特徴だ。3年後をめどに1億円程度での販売を目指す。