【NQNニューヨーク=岩切清司】6日のニューヨーク外国為替市場で円相場は5日続落した。終値は前日比1円40銭の円安・ドル高の1ドル=123円10~20銭だった。一時は123円27銭まで下げ、8月21日以来ほぼ2カ月半ぶりの円安水準を付けた。10月の米雇用統計を受け米金利が上昇し、日米の金利差拡大などを意識した円売り・ドル買いが優勢となった。
10月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回った。「賃金の高い専門業などで大幅増となったことが質の高い改善を示し市場に安心感を与えた」(コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのマリー・スコフィールド氏)という。全体の賃金の伸びも順調に拡大するなど米労働環境が再び力強い回復基調にあることを示した。
雇用統計を受けて一部の大手金融機関が米連邦準備理事会(FRB)の利上げ予想時期を年明けから今年12月へ相次いで前倒しした。政策金利の影響を受けやすい米2年物国債に売りが膨らむなど、米金利は短期から長期ゾーンにかけて軒並み上昇。主要国との金利差が広がり、ドルが主要通貨に対して買われ、円相場には円売り・ドル買い圧力として働いた。
「利上げ観測の高まりが再び新興国通貨の下落圧力になる」(シリコンバレー・バンク)といい、インド・ルピーや韓国のウォン、南アフリカ・ランドの売りも目立った。
この日の円の高値は121円87銭だった。
円は対ユーロで小反発した。終値は前日比5銭円高・ユーロ安の1ユーロ=132円35~45銭で取引を終えた。
ユーロは対ドルで反落した。終値は前日比0.0145ドル安い1ユーロ=1.0735~45ドルだった。1.0705ドルまで下落し、4月23日以来およそ半年ぶりの安値を付けた場面もあった。FRBの利上げが意識される一方で、欧州中央銀行(ECB)は追加緩和を模索している。「金融政策の方向性の違いからユーロ売り・ドル買いが続きやすく、来年は1ユーロ=1ドルまで下落するのではないか」(RBS証券のブライアン・デンジャーフィールド氏)との声もあった。
この日のユーロの高値は1.0880ドルだった。