【フランクフルト=加藤貴行】独フォルクスワーゲン(VW)が、新たに発覚した二酸化炭素(CO2)排出量の不正に関し、対象の車の所有者の税負担が増えた場合に肩代わりする方針を示したことが分かった。独メディアが6日、報じた。所有者のVW離れを抑える狙いとみられるが、VWの一連の対策費の増加につながることになる。
ドイツなどではCO2の排出量に応じ自動車税などの税率が決まる。VWの不正対象車の実際の排出量が増えれば、税率も上がり所有者の負担が増す。VWは主に欧州で販売した約80万台でCO2の不正があったとしており、独政府はVWに責任を求めていた。
こうした動きに対し、マティアス・ミュラー社長は同日、欧州連合(EU)各国の財務相に宛てた書面で、所有者ではなくVWに追加の税負担分を請求するように要請したという。
一方、VWのベルント・オステルロー従業員代表は同日、独メディアに対し「取締役会は一方的に緊縮計画を発表した」とミュラー社長らを批判した。同氏はVW監査役も務め経営に強い影響力がある。人員削減の是非は従業員も参加して決めるよう求めており、VWが合理化を具体化する際に影響が出そうだ。