高齢ドライバーによる事故を防ごうと、福井県警が75歳以上の人に運転時の映像を記録するドライブレコーダーを1週間程度貸し出す取り組みを7月から始めている。記録した映像を警察官が分析し、運転上の注意点などを伝える。加齢とともに反射神経や運転スキルが衰えていくことを知ってもらうのが目的だ。
県警によると、ドライブレコーダーの高齢者への貸し出しは全国でも珍しい。高齢運転者による深刻な事故が全国的に相次ぐ中、運転スキルの低下を自覚させ、安全運転につなげる試みとして注目される。
福井県内11署に、フロントガラスなどに取り付けるドライブレコーダーを1、2台用意して貸し出している。これまでに80人以上が利用し、約1時間の講習も受けた。県内でも高齢運転者の事故が増えていることから、県警交通企画課が発案した。
6日に福井署であった講習には、福井市の無職、横田幸治さん(82)が参加した。パソコンで再生した映像を示されながら、同署交通課の藤田健司課長から「一時停止の際に停止線をまたいでいますね」などと注意を受けた。
横田さんは「50年以上の運転歴があるが、自信過剰だったかもしれない。これからは慎重に運転していきたい」と感想を述べていた。
藤田課長は「自分の運転癖に気付かない人が多い。運転している映像を見せた上で、アドバイスした方が効果的ですね」と話している。
ドライブレコーダーは自動車を運転している際の映像や音声を自動的に記録する車載装置。1台数千円から販売されており、一般ドライバーのほか、事故処理の迅速化や安全運転教育の充実を目指す運輸会社なども利用している。
警察庁の統計によると、2014年末時点の高齢者の免許保有者は約1638万人で、10年前の約1.7倍。一方、14年に高速道路で起きた逆走事案224件のうち、65歳以上は7割近い152件を占めた。〔共同〕