【ニューヨーク=平野麻理子】10月の雇用統計が米労働市場の回復を示す内容になったことを受け、6日のニューヨーク市場では米連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げに踏み切るとの見方が広がった。長期金利が急上昇し、利上げで利ざやが拡大するとの見方から金融株が買われた。エコノミストの間では年明けと見込んでいた利上げ時期の予想を前倒しする動きも出た。
同日朝方発表の雇用統計では、景気動向を敏感に反映するとされる非農業部門の雇用者数が前月から27.1万人増え、増加幅が市場予想(18万人程度)を大きく上回った。失業率は5.0%に低下し、完全雇用とされる水準に接近した。
強い内容の雇用統計を受け、市場では年内の利上げ観測が一段と強まった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がフェデラルファンド(FF)金利先物の値動きから推計する「12月利上げ」の市場参加者の織り込み具合は、前日の58%から70%に上昇した。
一部のエコノミストも金融政策への見方を修正した。BNPパリバとバークレイズは6日公表したリポートで、これまで年明け3月としていた利上げ開始時期を今年12月に前倒しした。バークレイズは変更の理由として「労働市場が8月、9月の減速から立ち直った」ことを挙げた。
早期利上げ観測の高まりを受け、債券市場では金融政策の影響を受けやすい2年物国債の利回りが一時、前日比0.11%高い0.94%まで上昇(価格は下落)し、約5年半ぶりの水準を付けた。
株式市場では早期利上げを懸念した売りが出る一方、JPモルガン・チェースなど利上げによる業績改善が期待される金融株が買われた。ダウ工業株30種平均は前日比46ドル90セント(0.3%)高の1万7910ドル33セントで終えた。