【ヤンゴン=松井基一】ミャンマー連邦選挙管理委員会の11日午前9時(日本時間同11時半)現在の発表では、上下両院の改選議席(491議席)の4割の182議席で勝敗が確定。アウン・サン・スー・チー党首率いる最大野党の国民民主連盟(NLD)は確定した議席の9割を押さえ、NLDによる単独政権樹立の可能性が高まった。ただスムーズな政権移譲が進むかにはなお懸念がある。
8日、ヤンゴンで投票する国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー党首=ロイター
選管発表によれば、政権与党の連邦団結発展党(USDP)は10議席にとどまる惨敗。テイ・ウー党首代行や前党首のシュエ・マン下院議長、アウン・ミン大統領府相など大物議員の落選が確実になっている。その他の少数民族政党の獲得も数議席にとどまり、NLDが地滑り的勝利を収めている。最終的な選挙結果の公表は来週以降になる見通しだ。
一方、スムーズな政権交代が進むかにはなお不安がある。テイン・セイン大統領やUSDPの母体である国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官は8日の投票日、無条件に選挙結果を受け入れる意向を示したが、NLDは軍人議員枠の縮小を含む憲法改正を公約に掲げており、憲法秩序の維持を目指す国軍との間の溝は大きい。
ミャンマーの現行憲法は外国籍の親族のいる人物に大統領資格を認めないため、2人の息子が英国籍のスー・チー氏は大統領になれないが、スー・チー氏は10日の英BBC放送やシンガポールのテレビ局、チャンネル・ニュース・アジアなどとのインタビューで、「自分がすべてを決める」と発言。「法の支配」の重要性を主張してきたスー・チー氏だけに同発言は今後国内外で批判を招く可能性がある。