政府の税制調査会は13日、所得税を中心とした税制の抜本改革に向けた中間整理をまとめた。若年層で増加する低所得者の税負担を軽くすることが柱。「夫婦で働き、子どもを産み育てられる生活基盤を確保する」との改革の方向性を打ち出した。
政府税調は7月から過去25年程度の経済・社会の構造変化を分析し、時代にあった所得税のあり方を議論してきた。会長の中里実東大教授は13日、少子高齢化や非正規雇用の増加を踏まえ「税制のオーバーホール(総点検)を実施し、失われた20年を取り返す方向につなげたい」と話した。
中間整理では低所得者の税負担を減らし、所得の再分配機能を高めることが重要と強調。具体的には一定額を納税額から差し引く税額控除や「ゼロ税率」といった新しい案を明記した。
現在の所得税は給与所得者が得る給与所得と自営業者が得る事業所得など所得を10種類の区分に分けている。中間整理では商店主や農家といった伝統的な自営業者が減少し、給与所得者との境目が薄れてきていると指摘。所得の区分けを再編する方向性を示唆した。
政府税調は中間整理をもとに2016年中にまとめる答申に向け、来年から議論を再開する。具体的な制度改正は17年度以降になる見通しだ。