脂質を燃やす「褐色脂肪細胞」の働きを活発にする細胞内の新たな経路をマウスの細胞を使って見つけたと、広島大大学院の浅田梨絵研究員(生化学)と今泉和則教授らのチームが17日までに発表した。成果は英科学誌電子版に掲載された。
人の褐色脂肪細胞は首や肩の辺りにあり、脂質や糖質を燃やして熱を生む。チームは褐色脂肪細胞の詳しい仕組みが分かれば、新薬開発など肥満治療に役立つ可能性があると説明している。
チームによると、褐色脂肪細胞では「UCP1」というタンパク質が脂質などの燃焼を担う。脳は寒さを認識すると、褐色脂肪細胞に熱を出すように指示。褐色脂肪細胞内では複数のタンパク質を介して指令が伝わり、UCP1が作られる。
これまで「ATF2」「PGC1α」といったタンパク質が介在する経路は知られていたが、チームは「IRE1α」というタンパク質が別のタンパク質「sXBP1」に働き掛け、UCP1ができる別の経路を、マウスの細胞を使った実験で突き止めた。
褐色脂肪細胞の働きが鈍いと、余分な栄養が皮下や内臓の周りにある白色脂肪細胞に蓄えられやすくなり、肥満の原因になるといわれている。〔共同〕