肥満の子供は脂肪肝になりやすいだけでなく、肝硬変になるリスクも高いことを大阪市立大のチームが特殊な機器を使った調査で解明し、23日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。
チームの徳原大介講師(小児消化器病学)は肥満の子供は増加傾向にあるとした上で「機器は体に当てるだけで体への負担が少ない。リスクを事前に把握できれば、早期の治療につながる可能性がある」と話した。
機器はフィブロスキャンと呼ばれ、体に当てる部分は長さ約16センチの筒状。肝臓に近い脇腹に押し当て、超音波と振動波を出すことで肝臓の脂肪量と、肝硬変の指標となる肝臓組織の硬さの程度を痛みを与えずに調べられる。
チームはこの機器を使い、肥満か肝障害がある子供と、いずれもない子供計約210人(1~18歳)を調査。肥満の子は肝障害の子よりも肝臓の脂肪量が多い傾向があった。硬化の程度も肥満でない子より進行しており、肝障害のある子と同じぐらいだった。
肝臓を調べるには超音波を使って脂肪の量を把握したり、組織の一部を採取して硬化の程度を分析したりする手法がある。しかし超音波では肝硬変の兆候がつかめず、組織の採取では痛みを伴うなどの課題があった。〔共同〕