【ジュネーブ=原克彦】国際原子力機関(IAEA)は18日、イランが保有していた約1万9千基の遠心分離機のうち2割超に当たる4530基を撤去したとの報告書をまとめた。イランが核開発を巡る米欧など6カ国との最終合意を実行に移したことが初めて確認された。
7月の最終合意ではイランが核開発を大幅に縮小する見返りに、米欧などが経済制裁を解除することが盛り込まれた。合意内容は米国とイランでの議会審査を経て10月18日に発効し、イランはこれを機に遠心分離機の撤去に着手したと表明していた。稼働する遠心分離機は5060基にまで減らす必要がある。
IAEAが理事国に配布した報告書によると、撤去したのは中部ナタンズのウラン濃縮施設で4272基、同フォルドゥで258基だった。ほとんどが設置したものの使っていなかった設備とみられる。イランは年内の制裁解除を目指して今後も撤去を進める見通しだが、稼働済みの設備を外すには時間がかかるとの指摘もある。
IAEAはイランが過去に核兵器開発を試みた疑いについても検証作業を進めており、12月15日までに別の報告書をまとめる。最終合意に盛り込まれた条件の中では核関連設備の縮小に並ぶ重要案件で、内容が合意の履行に影響する可能性もある。