米金融業者MRIインターナショナルによる資金消失問題を巡り、投資家が出資金の返還を求めた訴訟の差し戻し審の第1回口頭弁論が20日、東京地裁(谷口園恵裁判長)であった。MRI側は再び争う姿勢を示した。
地裁は2014年1月、裁判の管轄権がないとして、訴えを門前払いに当たる「却下」としたが、東京高裁が「日本で審理できないのは不合理」として審理を差し戻し、今年9月に最高裁で確定していた。
訴状などによると、原告は東京、茨城など1都4県に住む9人で、それぞれ150万~2700万円を出資した。満期に全額が返還される契約だったが、2012年12月~13年5月までに満期を迎えた後も返還されず、13年6月に提訴した。
MRI側は当初「契約書は米ネバダ州の裁判所を管轄と記載している」として、日本での裁判は無効と主張。東京地裁はこれを認め、原告側の訴えを却下した。
しかし東京高裁は14年11月の判決で「管轄合意が不合理な場合は無効となり、今回はそのケースにあたる」として、一審判決を取り消し、審理を地裁に差し戻した。MRI側の上告を最高裁が退け、日本で審理できるとする判決が確定した。
弁護団によると、日本国内では他に投資家15人がMRI日本支店代表らに計約4億6千万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、現在東京地裁で争われている。
MRIを巡っては、米司法当局が今年7月、日系米国人の元社長らを詐欺罪などで起訴した。