神奈川県愛川町にあるJA県央愛川の背任事件で、神奈川県警捜査2課が元代表理事組合長の斎藤栄一容疑者(75)を背任容疑で逮捕していたことが捜査関係者への取材でわかった。過去に約2億5千万円の焦げ付きを出した融資先に対し、内規に反して融資を繰り返した疑いで元常務理事らが逮捕されており、県警は不正融資にトップが関与し、組織ぐるみだった疑いがあるとみている。
捜査関係者などによると、斎藤容疑者が同JAトップの代表理事組合長を務めていた2010~12年、JAは住宅販売会社を経営していた船橋美智子容疑者(74)=背任容疑で逮捕=に対し、計約4100万円を融資したが、約3800万円が回収不能になった。斎藤容疑者は、このうち時効が成立していない一部、約645万円分について、内規違反と認識しながら融資し、JAに損害を与えた疑いがある。
斎藤容疑者が専務理事などを務めていた1988年から約6年間、JAは美智子容疑者の夫で、建設会社経営の船橋定(さだむ)容疑者(72)=背任容疑で逮捕=に対し、約4億円を融資。うち約2億5千万円が回収不能となった。美智子容疑者は夫の会社の役員だった。JAは内規で、過去に回収不能となった融資先の役員への融資を禁じている。
県警は斎藤容疑者が元常務理事の小林義和容疑者(66)、元信用共済部長の中屋利雄容疑者(57)とともに、組織ぐるみで不正融資を実行した疑いがあるとみている。(古田寛也)