熊本市の化学及血清療法研究所(化血研)が国の承認していない方法で血液製剤などを製造していた問題で、農林水産省は9日、化血研が家畜などに使われる動物用の約30種類のワクチンも未承認の方法で製造していたと発表した。同省は同日、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反の疑いで化血研を立ち入り検査した。
現時点では製品の安全性や有効性に関する問題は見つかっていない。虚偽の製造記録を作成するなどの隠蔽工作も確認されていないという。
農水省によると、今年2月に化血研から報告があった。同省が調べたところ、化血研が製造する約50種類のうち、豚や牛などの家畜に下痢や流産を引き起こす感染症を防ぐワクチンや、診断薬など計約30種類で不正製造が確認された。ワクチンが細菌などに汚染されていないか調べる試験を省略した事例もあった。
化血研は、うち8種類の出荷を自粛している。
医薬品医療機器法は動物用ワクチンについても、人間に使われる血液製剤などと同様、国の承認した方法通りの手順で製造することを義務付けている。農水省は同法に基づき製品ごとに5年に1回、製造記録を確認するなどして定期的に検査してきたが、不正を見抜けなかったという。
化血研は「世間をお騒がせして申し訳ない」としている。